相談員「結婚相手に求める条件をおっしゃって下さい」
 
女「そうですね……握力1000万は欲しいところですね」
 
相談員「年収1000万ね……え？　握力？」
 
女「背筋力でもよかったんですけど、握力の方が分かりやすいかなと思いまして」
 
相談員「はぁ……ちなみに1000万という数値はどこから？」
 
女「私がそれぐらいなので……相手には私以上に逞しくあって欲しいので」
 
相談員「1000万……トンですか？」
 
女「まさか！　キロです、キロ！　1000万kg！」
 
相談員「キロですか……ならよかった」
 
相談員（いやよくねえよ。しかし、敏腕相談員として、なんとしても相手を見つけねば……）

花山薫スレ

相談員「とりあえず、候補を見つけました」
 
レスラー「プロレスラーやってるっす！」
 
女「わぁっ、いつも試合見てます！」
 
レスラー「どもっす！　ちなみにリンゴを手で握り潰せるっす！」ｷﾞｭｯ
 
ｼﾞｮﾎﾞﾎﾞﾎﾞﾎﾞ…
 
女「キャー、ステキ！」
 
相談員「ではさっそく握力勝負といきましょうか。握り合って下さい」

レスラー「手加減しないっすよ」
 
女「よろしくお願いします！」
 
相談員「ではどうぞ！」
 
ｷﾞｭｯ
 
レスラー「！」
 
レスラー「うぎゃああああああああああああああ！！！」
 
女「あ、ごめんなさい！」ﾊﾟｯ
 
レスラー「フーッ、フーッ！　いでええええっ！」
 
相談員（やっぱり無理だったか……）

ワロタ

大男「あんた、握力に自信あるんだって？」
 
女「はいっ！」
 
大男「いいだろう、勝負だ。痛かったらすぐギブアップしろよ！」
 
女「そうします！」
 
ｷﾞｭｯ
 
大男「ギブアアアアアアアアアアアアップ！！！」
 
相談員（わずか0.1秒の出来事であった）

力士「どすこーい！」
 
相談員「今度は力士の方に来ていただきました」
 
女「まあ素敵！　後で手形ください！」
 
相談員「では、どうぞ」
 
力士「どすこい！」
 
女「えいっ！」
 
ｷﾞｭｯ
 
力士「どひょおおおおおおおおおおおおおお！！！」
 
相談員「ありがとうございましたー」

おもしろい

女「やっぱり……握力1000万は厳しすぎるんでしょうか」
 
相談員「……」
 
女「条件を400万ぐらいに落とすべきでしょうか……」
 
相談員（そういう問題じゃない）
 
相談員（だけど、このままじゃ敏腕結婚相談員としてのプライドが許さない！）
 
相談員「そんなことはありません！」
 
女「！」
 
相談員「きっとあなたの希望に見合う男性を探し出してみせます！」

わろた

近頃の女は高望みしすぎ

ｶﾀｶﾀ…
 
相談員（調べてみると、握力の世界記録は192kgか……）
 
相談員（とても人間じゃ1000万なんて無理だ。なんだよ1000万って、バッファローマンかよ）
 
相談員（となると、人間以外から候補を探すしかないが……）
 
相談員（チンパンジーやゴリラだって、握力1000万ってことはないだろう）
 
相談員（もっとこう……規格外の生命体でないと……）
 
ｶﾀｶﾀ…

相談員「……これだ！」
 
 
 
≪イエティ≫
 
ヒマラヤ山脈に住むといわれる雪男。
 
未だにその存在は確認されていない。
 
 
 
相談員「イエティなら、握力1000万も夢じゃない！」

イエティが夢だわw

ヒマラヤ――
 
ビュゴォォォォォ……！
 
相談員（すごい吹雪だ……）
 
相談員（だが、イエティは用心深く、これぐらいの天候の時でないと姿を見せないという）
 
相談員（突き進むしかない……！）
 
ｻﾞｸｯ　ｻﾞｸｯ　ｻﾞｸｯ　…

これは期待

相談員「ハァ、ハァ、ハァ……」
 
イエティ「ん？」
 
相談員「やっと会えた……」
 
イエティ「なんだ……お前は？」
 
相談員「あなたに頼みがあって、やってきた」
 
イエティ「頼み……？」

割とサラッと会えたな

イエティ「なるほど、人間の女に会って欲しい、か」
 
相談員「お願いします！」
 
イエティ「いいだろう」
 
相談員「本当ですか！」
 
イエティ「ただし……俺に勝てたらな。弱い奴のいうことを聞くつもりはない」
 
相談員「分かりました」
 
相談員「うおおおおっ！！！」ﾀﾞｯ

イエティ「弱すぎる」
 
相談員「ぐはぁっ！」ﾄﾞｻﾞｯ
 
 
 
イエティ「出直してこい」
 
相談員「く……くそっ……」
 
 
 
相談員「だあああっ！」ﾊﾞｷｯ!
 
イエティ「少しはやるようになった。だが、まだまだ！」

そして――
 
相談員「今日こそあんたに勝つッ！」
 
イエティ「ぬおおおおっ！」ﾌﾞｵﾝｯ
 
相談員「だっ！」
 
ドゴォッ！
 
イエティ「うぐぅぅぅぅ……！」ｶﾞｸｯ
 
相談員「……」ﾋﾞｼｯ
 
イエティ「参った……お前に従おう」

くっだらねえｗｗすき

相談員「イエティさんを連れてきました」
 
イエティ「どうも」
 
女「まあ、逞しそう！」
 
相談員「それでは握力勝負……スタート！」
 
イエティ「むうんっ！」
 
女「えいっ！」
 
ｷﾞｭｯ
 
イエティ「ぐっ！？」
 
イエティ「ぐをおおおおおおおおおおおっ……！？」ﾒｷﾒｷﾒｷ…
 
相談員（ダメだったか……）

相談員が男ならこのまま修行続けて大団円って感じになりそう

相談員（イエティまでダメとなると……どうすりゃいいんだ？）
 
TV『ここで緊急ニュースです』
 
相談員「なんだ？」
 
TV『街に怪物が現れ、大暴れしています。警官が銃で応戦していますが、全く歯が立たず……』
 
相談員「……」
 
相談員「ついに見つけた！」

怪物「ククク……」
 
警官A「くそっ、なんだこいつ！」ﾊﾟﾝｯ!
 
警官B「銃が効かない！」ﾊﾟﾝｯ!
 
警官C「自衛隊を呼ぶしか……」
 
相談員「それには及びません」
 
警官A「え？」
 
相談員「私に任せて下さい」

相談員「怪物よ！」
 
怪物「なんだ」
 
相談員「俺が勝ったら、ある女性と握力勝負して欲しい」
 
怪物「ククク……いいぜ」
 
相談員「行くぞッ！」ｷﾞｭﾝｯ
 
怪物「速いッ！？」
 
ドゴォッ！
 
怪物「がっ！？」
 
警官A「す、すごい！」
 
警官B「拳銃が効かない相手に有効打を浴びせた！」

怪物「くっ、このぉっ！」ｺﾞｫﾜｧｧｧｧｧｯ
 
相談員（炎を吐き出した！）
 
ボワァァァァァッ！
 
怪物「ククク、ウェルダンになったろ！」
 
相談員「甘いな……ヒマラヤの吹雪で鍛えた皮膚に、そんな炎は通用しない！」
 
怪物「なんだとォ！？」
 
相談員「ハァッ！」
 
ボゴッ！
 
怪物「ぐ、は……ッ！」ﾄﾞｻｯ
 
相談員「これほどの怪物なら……彼女を満足させられるはず！」

やったぜ

相談員「では、どうぞ！」
 
女「お願いします！」
 
怪物「ククク……いっとくが握り潰すつもりでやるからな」
 
ｷﾞｭｯ
 
怪物「あだだだだだだだっ！」
 
女「あっ、ごめんなさい！」ﾊﾟｯ
 
相談員（怪物でさえ敵わないとは……！）

BAR――
 
相談員「くそっ！」ｸﾞﾋﾞｸﾞﾋﾞ
 
相談員「ダメなのか……！　俺では彼女の結婚相手を探し出せないのか……！」
 
イエティ「いや……一人だけいるぞ。握力1000万を持つ可能性がある人物が」
 
相談員「えっ、誰だ！？」
 
怪物「決まってんだろ、お前だよ」
 
相談員「俺……？」
 
イエティ「ああ、俺たちに勝利したお前なら、彼女とも渡り合えるんじゃないか？」
 
相談員（そうか、いつの間にか鍛えられていたのか……）
 
相談員「ありがとう、やってみる！」

相談員「今日こそ、あなたに見合う男性をご紹介します」
 
女「どんな方でしょう？」
 
相談員「俺です」
 
女「！」
 
相談員「さあ……握って下さい」ｻｯ
 
女「あなたの手を見たとたん、なんだかドキドキしてきました。もしかして、これが初恋……」
 
相談員「始めましょうか」ﾆｺｯ
 
ギュッ！！！

女「む……ッ」
 
相談員「ぐぬ……ッ」
 
ｷﾞｭｩｩｩｩｩｩ…
 
 
 
イエティ「！？」
 
イエティ「い、いかんっ！　二人の握力によって造られた圧縮空間がブラックホールと化してる！」
 
怪物「このままじゃ周囲に甚大な被害が出る！　俺たちで結界を張るぞ！」
 
イエティ「分かった！」
 
パキィンッ！

相談員（やってることはいたってシンプル――）
 
女（手を握り合ってるだけなのに……）
 
相談員（俺の情熱が彼女に伝わっていく……。彼女の情熱が俺に伝わってくる……）
 
女（ああ……なんて心地よい時間なの）
 
相談員（これが――）
 
女（これこそが、どんな相手にも通じる世界共通のコミュニケーション――）
 
 
 
ハンドシェイク！！！

相談員「決着は……つかなかったね」
 
女「ええ」
 
相談員「だけど、俺の気持ちは十分伝わったと思う」
 
女「ええ、あなたの想い……右手を通じて私の中にたっぷり注ぎ込まれたわ」
 
相談員「結婚しよう」
 
女「……はいっ！」
 
イエティ「おめでとう、二人とも！」
 
怪物「ったく、お似合いだぜ！」

ドキドキ…この先どうなっちゃうの

二人は結婚した。
 
女「みんな、ご飯よー！」
 
相談員「おっ、うまそうだ！」
 
イエティ「いただきまーす！」
 
怪物「メシだー！」
 
赤子「おぎゃあ、おぎゃあ……！」
 
女「あらま、赤ちゃんが泣いてる」

怪物「ククク……オムツは俺が取り替えてやるよ」
 
女「悪いわね」
 
怪物「居候の身だ。これぐらいしなくちゃ」
 
赤子「おぎゃあ、おぎゃあ！」
 
怪物「ほれ、オムツ替えるぞ～」
 
相談員「怪物はオムツ替えが上手くて助かるよ」
 
イエティ「あれで意外と手つきが繊細だからな」

良かった良かった

赤子「だぁ～」ｷﾞｭｯ
 
怪物「うおっ！？」
 
赤子「ばぶ、ばぶ」ｷﾞｭｩｩ…
 
怪物「うおっ、この娘、握力つええ！」
 
女「そういえばさっき、哺乳瓶を握り潰して砂時計みたいにしてたわ」
 
相談員「我が子ながら、将来が楽しみだね」ﾆｺｯ
 
 
 
 
 
 
 
おわり

おつ

乙
イエティと怪物ちゃっかり仲間になりやがって

相談員って大変なんだな